厚木の家 上棟式【向日の家】
ブログでも地鎮祭の様子を書かせていただいた、厚木市の【向日の家】が11月中頃に上棟し、先日上棟式を行いました。

↑上棟式の様子
棟梁はやさしく力持ちな田中大工です。
今回はなんとお施主様のご指名!
市場通りの家(鈴木アトリエ設計)の見学会に参加していただいた際に、
この家を建てた大工にお願いしたいとリクエストをいただき、今回実現した形です。

↑市場通りの家(鈴木アトリエ設計)でも棟梁を務めた田中大工
また、上棟式の際に今回建てる家の名前を発表させていただきました。
自分は家の名前を付けることが得意ではないので、いつも決めるまでにはかなりの時間をかけてしまいます、、
この家がどんな家かが伝わることはもちろん、言葉の響きや文字としての見え方など、
そして、一番はお施主様に気に入っていただけるかどうか、、、
そんな中で、今回名付けさせていただいた名前は【向日(こうじつ)の家】
今回、計画させていただいた土地は、南側に2階建てのアパートが横たわる日照的にかなり厳しい土地でした。
3Dでも検討を重ねましたが、一階で日射を取り入れるということがかなり難しい、、

↑冬至の日の12時のシミュレーション
画像手前側が道路で、駐車場を確保するということを考えると、
1階で日の当たる場所に部屋を作ることがかなり難しいということが見て取れるかと思います。
そうなってくると、候補に挙がってくるのが2階リビングという考え方です。
また、屋根形状も南側にハイサイドライト(高い場所に採光用の窓を設けること)を計画して、
日射を最大限に取り入れようとしたり、この場所で快適に過ごす方法をお施主様とひたすらに探求してきました。

↑ハイサイドライトでより日射を確保できる断面構成に、でも太陽光を乗せるには屋根勾配が悩ましい、、
最終的にはハイサイドライトを設けると太陽光を載せることが難しくなるので、
積載のしやすさを優先して、構造に素直な形で屋根をかける計画としました。
他にも、アパート側の下屋(1階部分)の上にテラスを計画して、
2階とアパートとの離隔を取ることで日射をより取り入れやすくしながら、手摺で目隠しも兼ねることで、
日中カーテンを閉めなくても良い、心理的にも日射を取り入れやすい窓を考えたりもしました。

↑日射の入る量は減っても太陽光がしっかりと乗る屋根形状とすることで、発電した電気を使って暖房が可能に
このように打ち合わせを重ねる中で、この家はいろんな方向性に迷いながらも成長してきました。
どのようにすればこの土地で快適に住むことができるのかということをただひたすらに考えた家です。
そんなこの家の在り方が、太陽に向かって伸びていく植物と重なりました。
植物が太陽に向く性質をなんていうのかなと自分なりに調べてみたところ、
どうやら向日性という名前がついているようです。
その向日性から、向日という部分を拝借して
【向日の家】
と名付けさせていただきました。
名付けの責任は毎度重大ですが、
様々な要素をヒントにしながら、
これだと思える名前にたどり着いていく、
そんな過程は好きですし、
お施主様からも承認をいただいて実際に名前が付くと、
より一層愛着が湧いてくるので、
今後も時間をかけ、悩みながらも、
その家にその家に合った名前を考えていければなと思います。
設計 鈴木