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もるくす建築社×タニタハウジングウェア 秋田建築ツアー【2日目・完】

2026-04-15

もるくす建築社×タニタハウジングウェア 秋田建築ツアー【1日目後半】の続きです。

2日目は、朝から佐藤さんが7年前に設計された『潟上の家』の家を見学させていただきました。

今回この住宅を見学出来ただけでも、秋田に来てよかったなと。

実際にお施主様が住まわれている住宅なので、写真はもるくす建築社さんのHPから拝借させていただきました。

↑『潟上の家』 この写真は竣工時のものですが、当時と遜色がないくらいに綺麗に住まわれていました。

 

輻射暖房や素材の蓄熱で作り出される静かで暖かな空間と佐藤さんの生み出す意匠が合わさりとても上質な空間でした。

照明の取り方も素敵で、座った時の目線と立った時の目線。

この二つの目線の間にペンダントライトやテーブルランプ、フロアランプなどを設けると

わずかな光源でも人は明るさを感じ、それでいて空間としては陰影のある落ち着いた空間になります。

一方でダウンライトはこの範囲外から明るさを届けるためにどうしても強い光になってしまい

空間全体を均質に明るくしてしまうので、

佐藤さんの設計では、ほとんどがこの目線間に光源を置く手法で計画されているそうです。

そういえば、昨日懇親会で伺った佐藤さん設計のレストラン『おしゃべりきのこ』

ペンダントライトやテーブルランプを駆使し、必要な部分だけを照らす照明計画でした。

↑『おしゃべりきのこ』 天井にはダウンライトがなく食事をするために必要な明かりはテーブルランプで確保しています。

 

後ろ髪をひかれながら次に向かったのは、小田島工務店さんの3棟のモデルハウス『木粋(MOKU-SUI』

秋田を熟知した建築家とのコラボレーション物件で、

西方設計の西方さん、もるくすの佐藤さん、やまと建築事務所さんがそれぞれの建物を設計しています。

三者三様、それぞれのスタンスの違いがはっきりと出ていて興味深く見学させていただきました。

↑『木粋(MOKU-SUI』 西方さんと佐藤さんの建物は新築、やまと建築事務所さんの建物はリノベーション物件です。

 

佐藤さんの設計されたモデルハウスは三棟の中で一番コンパクトな造りですが、

コンパクトに作っていることで、意匠面にも予算を回し密度の高い設計になっていました。

↑ 佐藤さん設計のモデルハウス 玄関回りは片持ちのスラブで薄く見せたり、目隠しの格子戸がついていたり細かなこだわりが詰まっています。

 

そして、最後に見学させていただいたのは、佐藤さんの仕事場である『美郷アトリエ』

腰屋根の南北にはタニタさんのエコテクノルーフが施工されていて、その下に広がる大屋根部分は銅板葺きになっています。

また、一日目に学んだ周辺環境と高さの関係性はここにも出ていて、決して極端に高さを抑えた建物ではないのですが、

長く水平に伸びた軒先のラインや周囲が開けていることなどが合わさりとても魅力的なプロポーションに見えました。

↑『美郷アトリエ』 自然素材をふんだんに使ったアトリエ 周辺環境に見事に溶け込んでいます。

 

室内も蓄熱容量の大きい素材をふんだんに使っていて、

柱と空気層を持つ木質積層パネル、木質断熱材を組み合わせた総厚400mmを超える木の塊のような外壁、

土間床、石の壁、土を充填した壁など、素材を全面に出して蓄熱と調湿を行っています。

また、蓄熱のしやすさと熱の取り出しやすさは別物で、とにかく素材を仕上げとして表面に出すことが蓄熱を生かすコツだそうです。

棟木のない登梁の架構も美しく、環境性能と居住性能を両立したとても居心地の良いアトリエでした!

↑ 400mmを超える木外壁 手前が室内側で、柱、木質パネル、木質断熱材と何層も重ねて外壁を構成しています。
↑ 玄関には石の壁 開口部は斜めにカットされていてとってもシャープな納まり。
↑ 棟木のない登梁がリズミカルに宙を飛んでいます。 開き防止のために梁上には金物が入っているそうです。

 

2日間と短い時間ではありましたが、とても学びのあるボリューム満点の秋田建築ツアーでした。

今回、ツアーを計画してくださったタニタハウジングウェアの皆様、

同行して案内をしてくださった、もるくす建築社の佐藤さん、

そして、道中いろいろと情報交換をさせていただいた参加メンバーの皆様、

2日間本当にありがとうございました。

 

設計 鈴木