北海道断熱修行の旅 2日目午後
『北海道断熱修行の旅 2日目午前』の続きです。
2日目の午後は家具を製作されている匠工芸さんへ伺いました。
家具といってもいわゆる箱物(棚とかタンスとか)より机や椅子といったものをメインで作られている家具屋さんです。
↑ エントランスにあった動物みたいなスツール
匠工芸の職人さんは加工の資格を取っている方がほとんどで、
工場も見学させていただきましたが、
手加工で一つ一つの家具を丁寧に作られていました。
また、地域への取り組みの一つとして『君の椅子』というプロジェクトの椅子製作にも関わられています。
旭川市は家具づくりが有名で、
『君の椅子』は、この地域で新しく生まれた子供に椅子を送るというプロジェクトなのですが、
その椅子には『生まれてくれてありがとう』『君の居場所はここにあるからね』という意味が込められているそうです。
↑ ロープと皮で作られた背もたれの椅子、目を引かれました。
色々と座らせてもらいましたがどれも抜群に座り心地が良かったです。
家づくりのなかでついつい後回しにしてしまいがちな椅子や机ですが、
日常生活の中で触れる回数が多いのもこの二つ。
是非、手触りやデザインといったところも大切にしながら選んでもらえればと思います。
そして今回訪問した匠工芸さん、なんと横浜にもショールームを構えていらっしゃるそうです。
ご興味ある方は是非、足を運んでみてください。
次に向かったのは、山本亜耕さん設計の『神楽岡の家Ⅱ』。
個人宅なので写真は控えさせてもらいますが、UA値はなんと0.19W/㎡K。
ここまでの性能値になってくると。
壁の断熱はグラスウール120mm+付加断熱90mm+90mmの300mmという構成。
ここまでしっかり断熱をすると外と中の温度差は30度を超えていきます。
この温度差を使って換気するのがパッシブ換気という方法で、
機械を使うことなく自然の力だけで家中を換気することができます。
自然の力を使うので電気代はかかりませんし、ファンを回さないのでとても静かです。
また、家を暖める暖房は基礎底盤の上に温水パイプを這わせた輻射式。
これは1日目のPSさん同様、温水が流れているだけなので、
とても静穏性の高い暖房方式になります。
これらを組み合わせることで、暖かく静かな家を実現されていました。
↑ 温水パイプを基礎底盤上に這わせた輻射式暖房
神奈川ではこんなに温度差はつかないし、温水パイプはコストがかかるし、、
いいものを見ると新しいことを考えるきっかけになります。
形式は同じにできなくても北海道だろうと神奈川だろうと欲しいのは快適な室内環境。
今回体験した室内環境をいかに神奈川で再現するのか、、
そんな新しい目標が見つかった見学になりました。
『神楽岡の家Ⅱ』を見学させていただいた後は本日の宿がある旭川の市街地へと向かいました。
さすが断熱修旅、ここで旅館やホテルには泊まりません。
個人の方が貸し出している物件での宿泊です。
↑ 本日の宿泊部屋
この物件はアパートタイプだったのですが、そこは北海道。
窓はしっかりと内窓がついていました。
内窓の効果もばっちりと確認してきましたよ。
↑ 内窓の温度は11.6度
↑ 内窓を開けた外の窓は1.3度
内窓と外の窓の温度差はなんと約10度も違いました!
そんな実験などしつつ懇親会会場の天金さんへ。
↑ どの料理もおいしかったです!
懇親会でもひたすらに建築談義が続いていきます。
今回の参加者の中には森さんの空調講座を卒業された方も多かったので、
各会場での様子や課題提出がつらかったよね、なんて言う苦労話でも盛り上がりました。
そして最終日の明日も6時起きというスケジュール。
明日は札幌へと戻りまだまだいろいろと見学させていただけるようです。
『北海道断熱修行の旅 3日目』に続きます。
鈴木