【まずは気流止め⁉】QPEXで見る断熱改修 その1
先日、新住協の東京支部の研修会に参加してきました。
内容は、【QPEX活用セミナー】新築・改修・集合住宅まで学ぶ入力解説・原理・添削。
普段新築住宅のQPEX入力については当たり前のようにしていますが、
最近は高性能リノベや高性能賃貸といった、改修、集合住宅での入力機会も増えてきました。
基本的な考え方は新築住宅とは変わりませんが、
改修や集合住宅特有の考え方がどうしても出てくるので
こういった勉強会で情報をアップデートすることはとても大切です。

↑新住協代表理事 久保田さんに解説していただける贅沢なセミナーでした。
さて今日の本題。
早速、学んできたQPEXをつかって断熱改修の効果について検証していければと思います。
今回想定する建物は昭和56年に建てられた木造2階建て約50坪のかなり大きな住宅。
断熱の仕様は、天井、壁はグラスウール10K(※1)50mm、床は無断熱。
※1 1㎥あたり10kgの密度のグラスウールで、現在はより繊維が細かく空気を含める高性能グラスウールが一般的で密度も16K~24Kを使うことが多いです。
サッシはアルミのシングルガラスで建物の気密はほとんどない状態を想定した場合、
QPEXで計算をするとこんな感じになります。

↑昭和56年に建てられた建物を入力するとこんな結果に。右下の燃費計算は、エアコンをつけっぱなしにした場合にかかる費用です。
UA値2.1W/㎡Kというなかなかショッキングな数値が出てきました。
この数値に慌てて、壁の充填断熱を新築同等の高性能グラスウール16K105mmに改修したとします。
そうするとこのような感じ。

↑壁を高性能グラスウール105mmで充填した場合。 でも断熱材の厚さがなぜか薄い??
UA値1.85W/㎡Kと思ったよりも性能が伸びなかった、、、
って、グラスウールが21mmしか入ってないじゃないかと思われるかもしれません。
でも、これは施工会社が断熱材をケチったわけではありません。
壁の断熱改修をする際にはまず気流止めという工事を行わないと、
断熱材の効果は1/5しか発揮できないということが新住協の長年の研究で判明しています。
実は一番初めにお見せしたQPEXの計算結果も壁の断熱材は1/5で計算していました。
では、その大事な気流止めというのはどのような工事なのか?
新住協のHPから図を拝借してご説明します。

↑新住協のHPより拝借した気流止めが必要な在来木造工法の家の図 出典:https://shinjukyo.gr.jp/tech/shinzairai/
図のように昔の住宅は根太床工法というやり方で床をつくっていて、
基礎の通気から入った空気が壁の中を抜けてしまう作り方が一般的でした。
グラスウール断熱材は空気という断熱性能の高い気体を動かさず保持することで断熱性能を発揮しているため、
このように下から上に空気が流れてしまう状態では断熱性能を十分に発揮できません。
そこで必要になるのが気流止めという工事です。
こちらも新住協のHPから図を拝借してご説明します。

↑新住協のHPより拝借した気流止めを行った在来木造工法の家の図 出典:https://shinjukyo.gr.jp/tech/shinzairai/
図の中にある黒丸部分が気流止めを行った部分です。
壁の上下や小屋裏部分に圧縮袋に入ったグラスウールを詰めて、カッターで袋を切ると、
圧縮状態から解放され、壁の中でグラスウールがパンパンに膨らみ壁内の空気を固定します。
昔は本当に布団圧縮袋にグラスウールをつめて気流止めとしていたそうですが、
最近はこんな商品も出ています。
https://www.pgm.co.jp/items/product_tome.html
このような方法で気流を止めると、
50mmのグラスウールでも本来の性能を取り戻しこのような計算結果に。

↑昭和56年の家に気流止めを施した場合。
UA値1.66W/㎡Kとまだまだ改修が必要ですが、
断熱改修においてはまず気流止めということがお分かりいただけたかと思います。
次回もQPEXを使いながらこの物件を断熱改修をしていければと思います。
設計 鈴木
【横浜市戸塚で地域密着70年】
つよくてやさしい家づくり
山田建設