墨出しの話
設計の森田です。
12月も半ばになり、ずいぶんと寒くなってきました。
今年もネックウォーマーとお友達の季節です。
中学2年から、かれこれ11年目の付き合いですが、今年も私を寒さから守ってくれそうです。
***
さて、今日は現場での話。
設計者として図面と現場に齟齬がないか確認しに行くと、墨出しを手伝うことがあります。
墨出しとは、図面で書かれた寸法を、現場に書き写す大事な作業です。監督が出してくれた墨を確認する時もあれば、自ら墨を出すこともあります。
先日、弊社で採用している屋根一体型太陽光パネルを施工する前に、軒に対してまっすぐ取り付けるために出した墨の確認をしました。

矩(カネ=直角)を持つ道具は、様々です。
模型製作のような高い精度が求められる場合には「スコヤ」がよく使われます。

現場では、もう少し大きく台座のついていない「さしがね」が一般的です。

しかし、太陽光パネルが乗るのは屋根面なので、屋根面に対して相対的に小さなさしがねでは、矩を確認することができません。
さしがねをあてて直角に見えても、もしかしたら5m先では10mmずれているかもしれません。
そこで登場するのが、直角三角形です。
直角三角形は中学校でも習います。
1:1:√2
1:2:√3

これらが一番有名ですが、巻尺やコンベックスで平方根を扱うのは不都合です。
そこで、3:4:5という、整数比の直角三角形を使います。
整数比を持つ直角三角形は他にも沢山ありますが、何事もシンプルなものが使いやすいですね。

軒に対して出した墨に、起点を決めて、巻尺で1500mm、2000mm、2500mmと合わせて、矩が出ていることを確認しました。
***
受験でしか使わなかった整数比の直角三角形と、現場の屋根の上で出会うとは思ってもみず。
世の中どうめぐり合わせるかはわからないものですね。
設計 森田